斉藤俊弘
千葉大学医学部第三内科
今日、運動療法は本態性高血圧症の非薬物療法の一環として臨床に広く取り入れられている。しかし、実際、どのような運動をどの程度実施するのがよいかについては未だ意見の一致をみていない。そこで私は、静的運動と動的運動の本態性高血圧症の心血行動態に対する反応性を比較し、さらに、運動処方の実際について述べる。
1. 静的運動と動的運動に対する心血行動態的反応性
男性の正常血圧(NT)と軽症高血圧(HT)を対象として、同一対象にHandgrip(HG)負荷とErgometer(Ergo)負荷を行い、両負荷の血行動態に対する影響の差異およびNTとHTの反応性の差異を検討した。その結果、NT群では、血圧(BP)、心拍数(HR)、心係数(CI)は両負荷で上昇、増大したがその変化度はErgo負荷で大であった。全末梢抵抗(TPR)はHC負荷でほぽ不変、Ergo負荷で低下した。一方、HT群では、NT群に比しHG負荷時の収縮期血圧上昇か有意に大きく、Ergo負荷時に近い値を示した。さらに両負荷におけるHR、CI、TPRの変化はHT群においてもNT群と同様の傾向を示した。次に、HGとErgo両負荷における昇圧度の関係を検討した。NT群では両負荷における昇圧度には相関かみられなかったが、HT群では両負荷における昇圧度に弱い正相関が見られた。NT群ではHG負荷時の昇圧度は、TPRの変化度と、Ergo負荷時の昇圧はCIの変化と相関した。一方、HT群ではHG負荷時の昇圧度はTPRの増加度と相関するもののNT群と比較すると、その関係は疎であった。
2. 日常生活習憤を変えた場合の降圧効果
某クリニクの総合検診受診者でl年間隔で2回以上総合検診を受診し、初診時の安静時血圧か拡張期血圧90〜l04mmHgであった男性78名を対象とした。再診時、問診表や生活活動調査票などからl年間の日常生活習慣の変化を調べた。その結果、初回より日常生活活動での運動量が増加した群では、安静および運動負荷時の血圧が、有意に低下した。3. Walkingの効果
男性HTを対象とし、万歩計を携帯させ、l年間、l日l0000歩毎日歩くことを目標とし、毎月血圧測定を行った。その結果、l日平均9000歩以上歩いた群は血圧か有意に低下したが、9000歩以下の群ではほとんど不変であった。
4. 監視下での運動療法
anerobic threshold(AT)を基準として運動処方を作成し、軽症高血圧に運動療法(坐位自転車エルゴメターによるl回30分、,週3回、8週間)を実施した。その結果、安静時および運動時血圧は有意に低下し、良好な降圧効果か認められた。
5. レジスタンス・トレーニングの降圧効果
高血圧に対する長期間のresistance trainingなどの静的運動トレーニングはあまり行われておらず、その効果についても賛否両論かある。Blumentalは、HTに対し、4カ月間のresistance
trainingを行い、有意な血圧降下を認めなかったと報告した。一方、Klemenらは、HTにcircuit
weight trainingを行い、安静時血圧か有意に下かったことを報告した。