運動療法効果
牧田 茂
堀川病院
運動療法における降圧効果のメカニズムは複雑で、まだ良く解明されていない部分がある。これは、本態性高血圧の病因自体に多因子が関与していることによる。これまで血行力学的に心拍出量、末梢血管抵抗、血液量や血管系のコンプライアンスとの関係を論ずる報告が多かったが、最近では神経体液性因子との関連を述べたり、インスリン抵抗性を中心とした糖代謝、脂質代謝異常を問題とする研究が目だっている。また、筋線維組成が降圧機序に関係しているとの興味深い報告もある。本シンポジウムでは、これらの降圧のメカニズムと運動との関わりを述べたいと思う。
次に、実際的な効果を得るための運動療法の具体例を示していきたい。外来において運動療法を指導する場合、いろいろな方式が考えられるが、当院では集団スポーツ運動療法と個別在宅型運動療法の2通りの指導を行なっている。さらに、高血圧専門外来において、実技指導は行なわずに短時間のカウンセリングのみの指導を計画している。集団スポーツ運動療法では、8名の患者(平均年齢57.5才)を対象に、自転車エルゴメーターによる運動負荷テストを行ない、LT(lactate
threshold)レベルの強度の運動療法を6ケ月間実施した。個別在宅型運動療法では、6名の患者(平均年齢53.2才)を対象に、トレッドミル(ブルース法)による運動負荷テストを行ない、Karvonen式の係数を0.5〜0.6とする心拍数で運動強度を設定し、3カ月間歩行を中心とする運動を指導した。今回はこれらの結果と集団運動療法、在宅型運動療法、カウンセリングのみの運動指導3者の比較検討を行なう。そして一般診療における高血圧運動療法指導の、実施上の問題点や限界を探りたい。